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「性行為中にコンドームが破れていた・外れていた」
「合意のない性行為で妊娠した可能性がある」
「膣外射精のみで正しく避妊できなかった」
このような状況に陥り、妊娠したのではないかと悩んでいる女性もいるでしょう。
望まない妊娠を防ぐためには、緊急避妊薬のアフターピルの服用が有効です。性行為から決められた時間内に服用すれば、高い確率で妊娠を防ぐことができます。
ここからは、アフターピルの効果や副作用、注意点について詳しく解説します。望まない妊娠を避けるために、アフターピルの使用を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
アフターピルとは、妊娠を希望しないにも関わらず妊娠する可能性のある性行為をしたときに飲む「緊急避妊薬」です。
72時間以内に服用することで95%以上の確率で妊娠を防ぐことができます。
妊娠を望んでいないにも関わらず、以下のような状況に陥った場合にはアフターピルが有効です。
膣外射精で妊娠する確率は約22%と高く、4~5人に1人が妊娠することになります。膣外射精は避妊とは呼べず、避妊しなかった場合と同じように対処しなければいけません。
アフターピルは一般的に避妊目的で使われる低用量ピルとは異なり、あくまで緊急時のみ使用できます。
妊娠を防ぐことはできても、万が一妊娠している場合の中絶目的として使用することはできません。
アフターピルは性行為で避妊に失敗した場合や、合意のない性行為の被害にあった場合に高い確率で妊娠を防ぐことができる薬です。
アフターピルの成分は女性ホルモンのひとつ「黄体ホルモン」ですが、どのような効果で妊娠を防ぐことができるのか詳しくみていきましょう。
アフターピルには排卵を抑制したり、遅らせる作用があります。
排卵が近づくと卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が増えます。卵胞ホルモンの分泌量が増えると卵胞が成熟したと見なされ、黄体ホルモンが分泌されます。
黄体ホルモンは大きくなった卵胞に作用し、卵子が卵胞液とともにお腹の中に飛び出すのが排卵です。
アフターピルは黄体ホルモンの分泌を打ち消したり、遅らせる効果があり、その効果は5~7日ほど続きます。つまり、アフターピルを服用すると排卵が抑制され、妊娠を予防できるという仕組みです。
アフターピルには子宮内膜の状態を変化させ、着床しにくくする作用があります。万が一、避妊に失敗して受精した場合でも、受精卵が子宮内膜に着床しなければ妊娠しません。
アフターピルの成分となる黄体ホルモンは子宮内膜に作用し、過剰に成熟させます。受精卵が子宮内膜に届く頃には子宮内膜が着床しにくい環境に変化しているため、妊娠を防ぐことができます。
高い確率で避妊効果が期待できるアフターピルですが、副作用が起こることもあります。
アフターピルの副作用は以下のとおりです。
肌荒れ
アフターピルを服用すると体内の女性ホルモン量が増えます。排卵前の場合は排卵を遅らせることで妊娠を防ぎます。排卵後の場合は子宮内膜を過剰に成熟させ、着床しにくい状態にすることで妊娠を防ぎます。
アフターピルの服用によってホルモンバランスが不安定になることで、肌荒れを起こす可能性があります。
出血
アフターピルを服用するとホルモンバランスが変化し、不正出血が起こることがあります。不正出血はホルモン量が不安定な時期に起こりやすく、鮮血または茶色っぽい血が出ます。
服用から3日目以降の出血なら、消退出血と呼ばれる人工的な生理と考えられます。気になる症状があれば婦人科を受診しましょう。
吐き気
アフターピルの副作用でもっとも多いのが吐き気です。吐き気の症状は一時的なものですぐに治まりますが、無理せず安静に過ごし、吐き気止めを飲みましょう。
アフターピル服用後、2時間以内に嘔吐した場合はアフターピルの成分が吸収されず、避妊に失敗するリスクが高まります。吐き気止めを飲んででも嘔吐しないことが大切です。
生理が遅れる
アフターピルを服用するタイミングにもよりますが、通常の生理予定日から10日程度遅れることがあります。
10日以上経っても生理が来ない場合は、妊娠検査薬を使用するか婦人科を受診してください。
めまい
アフターピル服用後にめまいやふらつきが起こることがあります。
周りがぐるぐる回るような感覚や体がフワフワするなど、立ちくらみの症状が出やすく、同時に倦怠感や疲労感を感じる人もいます。
寝不足やストレスもめまいの原因となるため、できるだけ安静に過ごして十分な睡眠を摂るように心がけましょう。
下痢
アフターピルの服用でホルモンバランスが乱れ、お腹が緩くなり下痢することがあります。一時的な症状ですぐに治まるケースが多いため、過度に心配する必要はありません。
アフターピルの成分は胃や小腸から吸収されるため、下痢で効果が失われる心配もありません。
アフターピルに限らず、医薬品には少なからず副作用のリスクがあります。副作用について理解を深め、正しく対処することが大切です。
ここからは、アフターピルの副作用がひどい場合の対処法について紹介します。
アフターピル服用後、吐き気を催す場合は無理に我慢せず、吐き気止めを服用しましょう。
アフターピル服用後、2時間以内に嘔吐すると成分が吸収されず妊娠するリスクが高まります。
吐き気止めは医師に処方してもらうこともできますが、ドラッグストアでも購入できます。
2時間以内に嘔吐したときのために、2回分処方してもらえることもあるため医療機関に相談してください。
頭痛や胃痛、熱が高い場合は頭痛薬や解熱薬、胃腸薬を併用できる場合もあります。
これらの医薬品はドラッグストアでも購入できますが、薬によっては飲み合わせが悪いものもあるため注意してください。
アフターピルを処方してもらう際に、医師に薬の飲み合わせについて確認しておきましょう。
アフターピルによる副作用の症状が強い場合は医療機関を受診しましょう。
数日安静に過ごしても治まらない場合、そのまま放置すると悪化することもあります。気になる症状が続けば、無理せず医師に相談してください。
アフターピルには、レボノルゲストレル・エラワン・ヤッペ法の3種類があります。
ここからは、それぞれの特徴について詳しくみていきましょう。
レボノルゲストレルは国内で初めて認可されたアフターピルで、先発品はノルレボです。
性交渉の後、72時間以内に服用することで緊急避妊できます。従来の緊急避妊のヤッペ法に比べて避妊率が高いうえに副作用が軽く、服用の手間も軽減されることから、現在もっとも多く使用されているアフターピルです。
エラワンは性行為から120時間以内に服用することで避妊効果を得ることができます。
また、レボノルゲストレルを主成分とするアフターピルでは十分な効果を得られなかったBMI30以上の肥満女性でも効果を得られるのが特徴。エラワンは国内未承認薬ですが、取り扱いのあるクリニックもあります。
ヤッペ法とは、性交渉の後72時間以内にプラノバール錠2錠を12時間ごとに2回、計4錠服用する緊急避妊法です。
フラバノール錠は中用量ピルですが、ヤッペ法では緊急避妊薬として用いられます。他の緊急避妊に比べて安く済むメリットがありますが、避妊率が低く吐き気の副作用が強く出やすいデメリットがあります。
近年、レボノルゲストレルを安く処方できるためクリニックでの取り扱いが少なくなっています。
アフターピルは妊娠の可能性がある性行為から72時間以内(エラワンは120時間以内)に服用する必要があります。ただし、服用が早ければ早いほど高確率で妊娠を予防できます。
アフターピルは避妊の失敗や、合意のない性行為による妊娠を防ぐための緊急避妊薬です。正しいタイミングで服用すれば高い確率で妊娠を予防できますが、アフターピルに頼り過ぎるのはNGです。
その他の避妊方法と併用することの重要性についても理解することが大切です。
アフターピルだけを避妊の手段にしない
緊急避妊薬のアフターピルは、100%妊娠を防げるものではないため、避妊の手段として日常的に使用してはいけません。
また、頻繁に服用することで体に負担がかかり、副作用のリスクも高まります。アフターピルは、あくまで他の避妊方法で失敗した場合の最終手段として使用してください。
日常的な避妊方法としては、コンドームや低用量ピルの服用がおすすめです。
アフターピルや低用量ピルには性感染症を防ぐ効果はありません。性感染症予防のためには、コンドームによる避妊と併用する必要があります。
アフターピルが必要なときはオンライン診療が便利
アフターピルは婦人科を受診して処方してもらうことができます。できるだけ早めの対応が望ましいため、受診できる場合は近くの婦人科を受診するのが確実です。
ただし、緊急避妊というデリケートな問題だけに、対面診療に抵抗がある人も少なくないでしょう。
そんな方にはアフターピルのオンライン診療がおすすめです。オンライン診療を活用すれば自宅に居ながらスマホやパソコンのビデオ通話で医師の診察を受けられます。
処方されたアフターピルは当日発送で最短翌日には手元に届くため、72時間以内という服用のタイミングもクリアできるでしょう。
クリニックによっては、オプションで当日配送に対応しているところもあります。
いざというときのために、個人輸入の通販でアフターピルを購入する人もいますが、海外の医薬品は偽物や粗悪品のリスクを伴います。十分な効果を得られず、妊娠してしまう可能性もあるでしょう。
また、健康に悪影響を及ぼすこともあるため注意が必要です。
アフターピルは必ず医師の診察のもとで処方してもらうことが大切です。
副作用がないアフターピルはある?
副作用がないアフターピルはありません。
国内承認薬のノルレボ(レボノルゲストレルの先発医薬品)やレボノルゲストレルは、いずれも副作用がほとんどないとされていますが、100%ないとは断言できません。
副作用のリスクは極めて低いですが、眠気や吐き気の副作用が出る人もいます。
従来の緊急避妊法のヤッペ法で用いる中用量ピル「プラノバール錠」は、他のアフターピルに比べて副作用が出やすいのが特徴です。
中用量ピルで体調が悪くなったことがあるけどアフターピルを服用しても大丈夫?
アフターピルは中用量ピルに比べて副作用が起こりにくいのが特徴です。
そのため、中用量ピルで体調が悪くなった人でも、アフターピルでは問題ないケースもあります。
吐き気や頭痛などの副作用が心配な場合は、アフターピルの処方と同時に吐き気止めや頭痛薬を処方してもらうと安心できるでしょう。
アフターピルはお酒を飲んでいても服用できる?
アフターピルはお酒を飲んでいても服用できます。ただし、お酒の飲み過ぎで嘔吐すると、成分が十分に吸収されず、避妊効果を得られないため注意してください。
また、酔ってピルを飲み忘れないようにしましょう。
喫煙者でもアフターピルを服用できる?
喫煙は血栓症のリスクが高まるほか、がんや心筋梗塞などの病気の原因にもなるため、禁煙することが推奨されています。
35歳以上で1日15本以上喫煙する人は、ピルを処方してもらえないため注意してください。
アフターピルと組み合わせが悪い薬は?
アフターピルの効果に影響する薬やサプリメントは以下のとおりです。
このほかにも、血液をサラサラにする薬はアフターピルを服用することで効果が変わるため注意が必要です。
上記以外にも服用している薬やサプリメントがあれば、必ず医師に伝えましょう。
アフターピル服用後、嘔吐した場合はどうなる?
アフターピル服用後、2時間以内に嘔吐した場合は成分が十分に吸収されず、効果を得られない可能性があります。
追加でもう1錠服用する等の対策が必要になるため、受診したクリニックに相談してみましょう。
アフターピルで避妊に成功したか判断する方法はある?
アフターピルの服用後、3日~3週間後に消退出血が起これば、避妊に成功したと判断できるでしょう。
また、性行為から3週間後に妊娠検査薬で陰性になれば、確実に避妊できていると考えられます。
アフターピルを服用すると次の生理はいつくる?
アフターピルを服用すると、生理周期が変化することもあり、通常より早くくるか、遅くても10日以内にくることがほとんどです。
次の生理予定日から10日以上経過しても生理が来ない場合は、妊娠検査薬で確認するか医療機関を受診しましょう。
アフターピル服用後、出血が止まらないけど大丈夫?
アフターピル服用後、出血が止まらない場合は医療機関を受診しましょう。
出血量や色には個人差があるため判断材料にはなりません。消退出血か不正出血かを自分で判断することは難しいため、必ず医師の診察を受けてください。
アフターピル服用後に低用量ピルを服用するタイミングは?
アフターピルを服用した翌日から低用量ピルを服用できます。
出血するまで待って服用を開始する場合は、出血した1日目から服用し始めてください。
アフターピル服用後に車を運転できる?
アフターピルには車の運転に関する制限は特にありませんが、体調に異変を感じた場合は運転を控えましょう。
頭痛や吐き気、めまいなどの副作用で体調が優れない場合は、服用から24時間は安静に過ごすようにしてください。
名称 | 宇都宮病院 |
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所在地 | 和歌山県和歌山市鳴神505番地の4 |
電話 | 073-471-1111 |
FAX | 073-473-8567 |
交通 |
JR阪和線「和歌山」駅東口より「紀伊風土記の丘」行 乗車 |
開設日 | 昭和45年10月27日 |
診療科 |
・内科 |
病床数 | 80床(医療療養44床・地域包括ケア36床) |
管理者・病院長 | 宇都宮 宗久 |
設備 |
手術室・内視鏡室・検査室(ECG・エコー) |
基準等 |
■基本診療料
■特掲診療料 |
勤務体制 |
4週8休(看護部のみ2交代勤務) |