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お知らせ

「医療・介護従事者が考える高齢者の災害への備え」 (調理実習とマイトイレづくり) 

3月の「医療と介護の未来塾」は、第5在宅医療・介護連携推進センターと第2層生活支援体制整備事業報告会主催の市民公開講座としてなるコミで開催いたしました。今月のテーマは、「医療・介護従事者が考える高齢者の災害への備え」でした。講師は、丸山 博生先生(一般社団法人 幹所属)(以下、丸山先生)からご講義いただきました。その後、伊藤 智子先生(日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)リーダー)(以下、伊藤先生)より自宅にある食材を使った調理実習と地域住民に講師となっていただき参加者と一緒にマイトイレ作り体験を行いました。近年、大雨や山火事等身近な災害が報道されているせいか、45名のご参加がありました。ご参加いただきました皆さま、有難うございました。

始めに、丸山先生より、平成元年に消防士となり、平成7年に救助隊として阪神淡路大震災、平成23年に救急隊として東日本大震災に緊急援助隊で従事されましたと自己紹介がありました。震災経験後、本格的に雪山でキャンプを始めたとのことで、西穂山荘でのイラストを示していただきました。
丸山先生より、自然災害として、地震、津波、風水害、台風等があるなかで、最も皆が気になる南海トラフ地震についてご講義いただきました。テレビ映像として「南海トラフ地震はいつ来る?」と題した番組を流していただきました。番組の中で、地震は地殻プレート同士の押し合いであり、その跳ね返り(リバウンド隆起)によって起こること。過去の地震発生時の地盤の隆起量と次の地震発生年の関係性から、次回の南海トラフ地震は2030~2040年に発生すると話されていました。丸山先生より、同じ震度6強の地震映像の比較について、石川県珠洲市(能登地震)と石巻日赤病院(東日本大震災)の違いについて示していただきました。珠洲市では、瓦屋根で土壁の昔ながらの木造建築のため倒壊する家も多いが、石巻日赤病院は、免振建築のためコピー機も動かないほど揺れが制御され、地震発生後から災害拠点病院として活動していましたと紹介していただきました。他にも、南海トラフ地震後の和歌山市の津波シミュレーション動画、和歌山城付近、宮地区付近のハザードマップを示していただきました。和歌山市には、地震発生後約35分から津波が押し寄せ、内陸にかけて浸水することが理解できました。
様々な災害時の備えとして、①実際の発災後の生活、②日常の備え、③発災時の身を守る行動、④一般社団法人幹での備えについてご講義いただきました。実際の発災後の生活は、丸山先生が実際に阪神淡路と東日本派遣での体験をもとに、実際の具体例を挙げながら説明していただき、自施設で取り組んでいる設備等についても紹介していただきました。
① 実際の発災後の生活
●災害がおこりライフラインが途切れました。
・自宅の中、電気がなくて真っ暗です。
・蛇口や水洗トイレも水が流せません。手洗いできず、感染症が起これば蔓延します。
・真冬、暖房器具、毛布もありません。
・トイレが汚いので、行きたくないです。水分を控えるため、血栓などの誘発危険
  ★ガソリンスタンドが、災害車用のためガソリンも手に入らなくなるそうです。
② 日常の備えとして:
・災害の種類に応じて、ハザードマップなどで危険個所と避難場所を確認しましょう。
・自宅の耐震診断と家具や家電の転倒防止をしてください。
・家族での避難行動の事前打ち合わせをしましょう。(津波てんでんこ)
・持ち出し品の用意と確認を行いましょう。(ライトは必需品)
・水、トイレットペーパー、食料などは、備蓄で使いまわしましょう。
★水の賞味期限は、飲めなくなる期限ではなく、PETボトル内の水が蒸発により既定の水量以下になる期限であり、未開封であれば、賞味期限を過ぎていても飲料として使用できますとのことでした。
③ 発災時の身を守る行動として:
・落下物などあるので、ヘルメットがおすすめです。
・コンロや石油ストーブなどは止めましょう。
・揺れが収まったら、避難できる出口を確認しましょう。
・屋外ではブロック塀などの近くには行かないようにしましょう。
・周囲が水浸しで、流れがある際、垂直避難で上階へ上がりましょう。
・車での避難時、道路浸水箇所ではタイヤの半分くらいが浸かってくると危険です。
④ 一般社団法人幹の備え
・ソーラーパネル12Kwとテスラ蓄電池17.3Kw×2基を整備。
 (商用電源から自動的に切り替え。)
・貯水タンク 容量3000ℓ(常に水道水として循環使用している)
・トイレ専用貯水槽(容積300ℓ 緊急時電動ポンプで川から補給も可能)
・パワームーバー(電気自動車から、100Vの電気を取り出すた めの機械)
・ポータブル電源(20Kwと30Kw)
・浄化槽直接トイレ(浄化槽の上にポータブルト イレを置き固定)
 さらに、車が水没した際の脱出の仕方についての映像を流していただきました。コーナン等で購入できるため、緊急脱出ハンマーを車に備えておいてほしいです。また、高級車等は合わせガラスになっており、割れにくいため、事前に車のどの部分のガラスが割れるかを知っておく必要がありますと説明していただきました。
最後に、丸山先生より各種災害を想定し、どのような形で被害が出るかを事前に考えてもらいたいです。発生した災害に対して、対応できる設備、備蓄等の準備が十分かを定期的に確認し把握しておいてほしいですとのことでした。

講義後に、伊藤先生より、パッククッキングとして、ポリ(高密度ポリエチレン)袋に食材を入れて湯せんで火を通す調理法を用いて、実際に調理実習を行っていただきました。ガスや水道、電気などのライフラインが使えなくなっても、カセットコンロ、鍋、水、ポリ袋を準備で簡単な食事を作って食べることができ、今回は、ご飯、切り干し大根とツナの煮物、プリンを作っていただきました。メリットは、ポリ袋の中で調理するので、栄養素や旨味を逃がさない、一つの鍋で同時に何品も調理できる、袋が器替わりにもなり食器が汚れない、ポリにマークを付けることで個別対応が可能(軟らかい食事、アレルギー対応等)であることが挙げられました。出来上がりを、会場参加の皆様に試食していただき、特にプリンが「あまりにも美味しい」と高評価いただきました。
次に、地域住民(マイトイレ作り担当スタッフ)の方の協力のもと、新聞とペットシート、ナイロン袋を使用しマイトイレ作り体験を行いました。youtube動画で何度か作り方を映しながら、各テーブルについていただき、参加者に作り方を学んでいただきました。

最近は、南海トラフ地震だけでなく、大雨・土砂崩れ等思いがけない災害が起こります。全てにおいての万全は難しいと思います。今日の研修会で、新たに知ることができた知識を、友人・知り合い等多くの方にも伝えて共有できればありがたいです。ご参加していただいた皆様、長時間に渡りありがとうございました。
 丸山先生、伊藤先生、地域住民の方々貴重なご講義とご協力誠にありがとうございます。

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