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「テクノロジー×リハビリテーション」 ~『やりたいこと』を発掘し『できる』を叶える~

 5月の「医療と介護の未来塾」も、なるコミにおいて感染対策には十分注意しながら、ハイブリッド方式で開催いたしました。今月のテーマは、「テクノロジー×リハビリテーション」 ~『やりたいこと』を発掘し『できる』を叶える~でした。講師は、小林 大作 先生(株式会社アシテック・オコ 代表取締役)(以下、先生)からご講義いただきました。今月の参加者は、Zoom参加者:11名(最大)・なるコミ聴講:27名:合計38名でした。ご参加いただきました皆さま、有難うございました。

 今月も、イラストやご本人様の写真(了承済み)、様々な動画を用いながら、①テクノロジー × 地域生活、②テクノロジー × 人の営み(作業)、③テクノロジー × リハビリテーションについてわかりやすくご講義いただきました。
 ①「共に生きる社会」を考えるうえで、医療技術・テクノロジーの発展で療養生活にも変化が生じ、現在、在宅生活の中で療養することが当たり前であり、どのように生活を彩っていくかに時代は変化しています。また、地域生活での安全性と快適性のバランスの中で、安全性に重きを置く医学的な正解が必ずしも本人・家族の希望ではないことも知ってほしいとの話がありました。
また動画をいくつか示していただきました。
まず1つ目は小学3年生の人工呼吸器装着の男の子がお母さんと一緒に草の土手を段ボールで滑ったり、遊園地で一緒にジェットコースターに乗っている動画。
 2つ目は、都道府県(熊本県・神奈川県・栃木県)を跨いでプロのeスポーツ選手と神経疾患の方の4人でぷよぷよ対戦を行っている動画であり、神経疾患の方は、口や手指のみで操作していることに驚きました。
 先生より、今後ファミリーコンピューター等のゲーム世代が介護保険・障害サービスを利用する時代が来ます。様々な選択肢を知ることで支援の提案の方法も変わってくるとのお話がありました。
 Society5.0(内閣府)とデジタルの活用により目指す社会(以下、デジタル庁)のイラストを示され、Society5.0は、デジタルとフィジカルを融合しその人がその人らしく暮らす社会、デジタル庁では生まれた時から死ぬまでデジタルを活用しWell‐being(心ゆたかな社会)を目指しているという説明がありました。支援者側の未経験や無知によるデジタル・ディバイドもあるので様々なことを知ることが大切であり、障害者・高齢者の固定概念をなくし、スマホ決済やアレクサを使用する柔軟な提案があってもよいのではと話されました。
 ②日常生活活動・生産活動・余暇活動の集まりが生活であるため、対象者の生活の概念を捉えることが大切であります。私たちも普段の生活においてメガネや自動車を使用するなど、自身で選択しより快適な楽な生活を送っています。支援側の判断基準ではなく、車いすを使用してでも、心地よく生活し本人の生活レベル向上につながる選択権を与えてあげる観点も大切であると説明していただきました。例として筋ジストロフィー患者が感じている移動の効力感のデーター(横:年齢・縦:移動の効力感)を示していただき、経年とともに移動の効力感が下がり、車いす(手動・電動)を導入することで一気に効力感が増していることを学びました。先生より、自助具を使用した事例をご紹介していただきました。スマホ充電部分をマグネット方式に変更、ペットボトルオープナーを3Dプリンターで製作、筆圧が伝わりやすいように持ち手を太くするなど様々な困りごとに対し生活支援を継続していますとのことでした。
 ③テクノロジーを用いての支援についてご紹介していただきました。
 ⓐコミュニケーションのツールとしてiPadとApple Pencilを使用したケースで、ノートのように消す作業が減ります。またデーターのため上書きされるため後からでも見直しも行えるので便利です。
 ⓑ頚部とわずかな右上肢の動きが可能な方で、自身でテレビの電源とリモコン操作ができるようになったケースです。当初は、自分は「何もできないから、何も困っていない」と話されていたが、自身で好きな時に好きな番組を見ることができるようになり、家族も中でもお孫さんが一番喜んでくれました。
 Ⓒ数ミリの指の動きを使い、パソコン操作によりyoutubeやNetflixをみたり、Amazonで買い物を楽しんだりされており、意思伝達装置を使用しテレビ操作やLINEも行っています。またiPadで自身のベッド操作を行えているため、家族に頼ることも減ったそうです。
 ⓓ発声とわずかな左拇指の動きで、MacとiPadとiPhoneを使用しながら、就労継続支援B型事業所でテレワークを行っている男性の方です。自身は社会貢献がしたいとのことで前職の英語教師の経験から、NPO法人を立ち上げたそうです。
先生より、利用するサービスのも、就労継続や社会復帰といったことも視野に入れながら支援を進めていく必要があると話されました。
 最後に、医療や介護保険もEvidence(根拠)からValue(価値)に基づく選択をしていくようになります。介護保険サービスも漫然と継続するのではなく、自身が10割の費用負担を払ってでも利用したいのかが価値の判断になってきます。障害のある方×リハビリテーション×テクノロジーの答えは支援者側の影響も大きいが、専門職多職種連携で実現可能なことは多いです。そのため、連携チームで支援にあたる際、各専門分野としてご本人・家族も自身の専門家として入っていただき手段と目的を確認しあいながら、対等な立場・意見で議論していくべきであると話されました。
 小林先生、貴重なご講義遅くまでありがとうございました。

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