2023年2~11月まで、なるこみにおいて医療と介護の未来塾がハイブリッド方式で始まりました。新型コロナウイルス感染も落ち着きを取り戻しつつありますが、万全な感染対策をしながら、今年も開講していきます。今月(2月16日)のテーマは、「KANOU DIARY(可能・叶うダイアリー)で最期までハッピーに過ごす情報管理術」でした。講師は、吉川 京子 先生(オフィスキョンキョン株式会社 代表)(以下、先生)にご講義いただきました。
今月の参加者は、Zoom参加者:13名(最大)・なるコミ聴講:13名:合計26名でした。
ご参加された皆さま、有難うございました。
今月は、先生の今までの実際の経験も交えながら、①KANOU DIARYについて、②ハッピーエンドの重要性、③叶えたい事、④ハッピーエンディングにする為に必要な情報について分かりやすくご講義していただきました。
先生は、結婚までの自分の希望を書くことで、夢を叶えてきたそうです。KANOU DIARYの発売は、お子様が社会人になられ、やっと夫婦2人の時間がとれると思った矢先のご主人様のがん発症からご家族で看取られた経験が軸となっていると話されました。
①KANOU DIARYとは、可能(英語:CAN(~できる))にするダイアリーとエンディングノート的な意味合いも含む自分の情報を管理するための付録別冊の2冊からなっているとのことでした。このKANOU DIARYは、エンディングノート的な、マイナスイメージではなく、今の元気な時:若い頃からこそ、自分の現時点での情報を整理し、叶えたい夢を書いていくプラスの視点をもって欲しいとの思 いで作られたそうです。
②がんとの診断により、2年と余命宣告をうけ直ぐに先生(妻)と一緒に、家族が困らないように必要な情報をエンディングノートに書き始めたそうです。その後、余命宣告の2倍以上の4年6か月の間、自宅で家族と一緒に生活され、在宅医や訪問看護等の協力の元、最期は自宅で看取られたそうです。その間、旅行やゴルフ、仕事での出張等やりたいことは全て全うされたとのことでした。亡くなる2日前には、在宅医による呼びかけで全スタッフが集合し、最後の自宅カンファレンスとしてグラスで乾杯したそうです。その後、昏睡状態となり、愛犬も一緒に家族のみで思い出話をしながら手を握り最期を迎えたとのお話でした。先生曰く「自宅で過ごすことは、どこの病院のVIPルームよりも良い状態であった。TVの音等が鳴り響いている生活感もあり、それが安心感につながった」との話しでした。実際、手を握っていることで、亡くなったことが分かったほどであったとのことでした。家族団らんのなかで、亡き夫のエンディングの見送り、また見送られた夫自身も共にハッピーエンディングに飾られたのではと話されました。
③自身の最期の疑似体験として、参加者全員で約40秒間目を閉じ、何を思ったかについて話していただきました。自宅で愛犬と子供たちに囲まれている方や実家の愛犬に会いたかったなどの意見が寄せられました。先生より、約3500人のホスピス患者を看取った医師の話の中で、患者の最期の後悔の声として、もっと自分の人生を大事にしておけばよかった、家族との時間をもっと大切にしたかった等「○○をやっておけば良かった」が最も多かったとの紹介がありました。自分の最期が、やりたい事・行きたい場所・叶えたい事の延長線上にあり、やり残したことはないと言えるハッピーエンドの人生を送るため、若いうち(今の時点)から書き記していくことが大切であるとの話しでした。ハーバードビジネススクールでの10年間に渡る調査データーの中で、目標を紙に書いている人3%、書いていない人13%、はっきりとした目標がない人84%の結果として、目標を書いた3%は残りの97%のなんと10倍の年収を得ていたというくらい、明らかに目標を紙に書くことの重要さを示されました。また、日本人の健康寿命でのデーターも示され、実際、先生も108歳まで健康に生きて、ピンピンコロリを目標に明記しているため、毎朝筋トレや散歩・食事等具体的に頑張っていますとの話しがありました。
④ハッピーエンディングにする為に必要な情報に関し、パソコンやスマホにパスワード等で管理するこの現在であるが、紙媒体で残し周囲と共有しておくことが大切であると話されました。KANOU DIARYで必要とされている情報として、1.介護や延命治療・臓器提供・葬儀のスタイル等の自身の希望、2.大切な方の連絡先、3.不動産・有価証券をも含んだ資産関連、4.加入保険・年金・借り入れ等を紹介して頂きました。さらに、5.見直し整理のために口座引き落としリストやクレジットカード情報を記載することで、忘れていた休眠口座や使用していないクレジット等の無駄な年会費も整理できていくと話されました。最後に、このKANOU DIARYは、現時点での必要最低限の情報を書き記すようにしており、災害時や財布や携帯等を紛失した際にも利用して欲しい。また、エンディングのために書くのではなく、やりたいことの延長に最期があることを理解し、それぞれの豊かなやりきったハッピーエンドを迎えて欲しいと話されました。
吉川先生、遅くまでありがとうございました。
講義終了後に、Zoom聴講の方より娘と一緒に聴講し、改めて自身の現時点での整理とともに娘にも自身のエンディングを共有できるよい機会となりましたとのメッセージがありましたので、皆様に共有いたします。