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がんの自宅看取りの基本を学ぼう

がんの自宅看取りの基本を学ぼう

2021年最後の未来塾開催も無事に終えることができました。なるコミでは、万全の感染対策を行いながら、なるコミ聴講(限定20名)とZoom研修でのハイブリッド研修を行いました。12月のテーマは、「がんの自宅看取りの基本~事例紹介を交えて~」でした。講師は、田伏 博行先生(たぶせ在宅クリニック 院長 )にご講義いただきました。
今月の参加者は、Zoom参加者:12名(最大)・なるコミ聴講:16名:合計28名と先月に続き参加人数が多かったです。
ご参加された皆さま、お疲れ様でございました。

 今月は、自宅療養中のご本人様・ご家族様の写真(許可済み)、イラストを用いて、自宅看取りでの本人の状態変化と支援者側の動き、ケアマネジメントのポイント等、丁寧に細かくご説明して頂きました。
 写真では、田伏先生(以下、先生)と一緒に写っている3名の方をご紹介されました。1人目は、腸閉塞で嘔吐がある方でしたが、最後に大好きな日本酒で乾杯された写真、次に、漁師の方で、友人描いてもらった漁師船の絵と一緒に写った写真、最後に、頑なにベッドを拒んでいた方であったが、自分から一緒に写真を撮ることを希望され、笑顔でピースサインしている写真。どの写真も良い顔をされており、結果的には最期の写真になってしまうが、喜ばれる家族も多いとのことに共感できました。そして、自宅での支援の良い点は、自宅ならではの楽しみ方ができること、また支援者側もその方の人生の歴史や生き方にも触れることでしっかりとした信頼関係が築けることができるとのことでした。
 自宅で最期まで過ごすためには、①本人と家族が希望している、②24時間365日対応する在宅医と訪問看護、③がんの最期はどう変化するかの知識とのことでした。自宅で過ごすことに対し、本人・家族も迷っている方も多く、先生にご相談来られるケースの殆どが迷っていることに驚きました。皆、迷いながら始めている家族が多いそうです。その中で、状態変化も急であるため、本人も家族も安心して任せることができる、24時間365日対応する在宅医と訪問看護が必要であるとのことでした。先生曰く、「迷っていても問題なし。必ず、最期まで看なければならないことはなく、どうしても無理になれば入院すれば良い」とのお話もありました。病気の発病・診断からの経過で、老衰と慢性疾患を比較対照として、がんの特徴について説明がありました。特徴は、亡くなる1~2か月前頃より、ADLが急激に低下し、最後の1か月でさらに急激に病状変化することを覚えておいて欲しいとのことでした。証明するデーターも示され、それを見るに、60日前から、全身倦怠感・食欲不振・痛み・不眠等も起こり、30日前になると症状の頻度も増えてくることが見て取れました。その中で、私たち(支援者側)のすべきことは?どのように接したらいいの?かについて、実際の流れとして、ADL維持が保てている前半、ADL低下が目立ち始めてきた後半、最期の看取りの3段階に分けて説明してくれました。前半は、本人/家族の状況や自宅の環境を確認、病状や経過から予後予測や病状説明、医療ケアや介護サービスの整理等を挙げられました。また、開始時は特に不安が強いので、密な連絡が必要であるとのことでした。後半は、病状変化に応じて説明やケア/サービス変更、本人・家族への説明を繰り返し行う、死が近づいても希望に変化がないかの確認等を挙げられました。私が、印象に残った支援として、「やり残している希望があれば、即実行する」ことで、実際に散歩同行や、万が一の外出先への支援も可能であると話されました。最も多いのは、最期にもう一度お風呂に入りたいという希望だそうです。突然なので、毎回、訪問入浴や訪問看護に無理を言ってお願いする事が多いようですが、どの事業所も快く協力してくれるようです。
 看取りが近づくにつれ、看取りの少し前の変化(サイン)として、食べなくなり急激に痩せる、尿量/排便が減る、口が乾く、身の置き所のなさ、倦怠感が増える、発熱(最高40℃)するが手足は冷たい、ボーっとして寝ている時間が増える、痰が増える、息が荒くなる、突然感謝の言葉を言う、臨死体験を話す等を挙げられました。次に、看取りの24時間以内の変化(サイン)として、尿が出なくなる、反応が弱くなる、ゴロ音が増大(死前喘鳴)、顔面、手足が冷たい/白い/紫色になる(チアノーゼ)、呼吸の仕方が変わる(下顎呼吸)等を挙げられました。今回の症状を、ケアマネジャーも学ぶことで、看取りの状況に陥っても、慌てないで、冷静に家族様への対応に当たっていただきたいとのことでした。
 事例紹介として、2事例紹介されました。まずは、80代男性、妻と二人暮らしの方で、抗がん剤治療を行わずに緩和ケアを選択。本人・妻の希望として、住み慣れた自宅で身辺整理をしながら穏やかに最期を迎えたい方のご紹介。2事例名は、50代男性、妻と長男の3人暮らし。入院中であったが、一日も早く自宅に帰って、一日でも家族と過ごしたいとの希望から、看取りも含めた在宅医療のために紹介された方のご紹介でした。日々の状態変化についてもご説明してくださり、先ほどのデーターでもあったように、進行度が早いことが理解できました。参加者(理学療法士)から、理学療法士からの支援で何ができることはありませんかとのご質問がありました。先生より、患者様の現在の病状がどの段階なのか、段階によって必要度が変化していく、前半のADLが維持されている状態の中での希望で「トイレだけは自分で行きたい」のであれば、アドバイスやサポートが必要、後半のベッド上での生活では、拘縮予防や口を動かすリハ等により多職種との連携を図っていくことで、家族・本人も安心されるのではないかと話されました。
 最後に、先生からのメッセージとして、がんの終末期は、経過が早くどんなに頑張っても、約1~2か月で確実に亡くなります。終末期は「医療>>>介護」の印象ですが、介護サービスも必要です。ケアマネさんにしか出来ない「傾聴」「寄り添い」がありますので、本人/家族が安心して過ごせるようにお願いしますとのことでした。 
今回、先生の講義や事例を通して、医療と介護との連携により、ご本人・ご家族の希望に沿った良い看取りが行えることができることが理解できました。

2022年も未来塾を開講いたします。2021年は、ケアマネジャー必見シリーズが多く、身近な現場での観点や視点を学ぶ機会といたしました。2022年は、4名の先生からのご講義があります。2022年も楽しく学び、少しでも医療と介護の連携を深めていきましょう。皆様からの様々なご意見もいただければありがたいです。2022年も沢山のご参加お待ちいたしております。
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