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お知らせ

排泄コントロールの大切さ

 6月の研修会から、ケアマネジャー必見シリーズ物が始まりました。今回は、第1弾「排便コントロール」。講師は、訪問看護ステーションハーモニー(以下、ハーモニー) 管理者 田中 順子先生よりご講義いただきました。そして、今月から、Zoom配信となりましたが、特に大きなトラブルなく、以前同様沢山の方々にご参加頂きました。なるコミ聴講(20名限定)は以前と変更はありません。
今回の参加者数は、Zoom参加者:32名(最大)・なるコミ聴講:6名:合計38名
田中先生、また参加者の方々急な変更にもかかわらず、ご対応ありがとうございました。


 高齢者の介護において、便秘や下痢などの排便障害は大きな問題であり、昔の施設や病院でも、薬剤を用いての定期的に排便促進がされていたこともあったくらい、排便コントロールは現在においても大事な必要なケアの一つであることを話されました。
平成28年の厚生労働省の調査グラフ「訪問看護でサービス内容(複数回答)」の中で、1位:病状観察(92%)、2位:療養指導、3位:リハビリ(52%)であるが、大事なケアの排便コントロールは、第8位の(15%)、またハーモニーでも(13%)の低位であることを示されました。しかし、田中先生曰く「上位のサービス内容は、訪問時に行う観察指導であるが、実際、身体に触れて行うケアとしては、排便コントロールは、頻度が高く、ハーモニーでも毎日誰かの排便コントロールを行っている」と大切さについても説明されました。排便コントロールとは、①排便の有無、便の性状をみながら下剤の量を調節、②排便困難時に、浣腸や座薬、摘便により排便を促すことのことでした。排便がないまま放置すると、食べ物や消化液などの内容物が肛門へ移動障害される腸閉塞になり、腹部の張り、腹痛、吐き気、嘔吐が起こり、時間と共に腸の壊死等で、生命にかかわることがあります。そのため、定期的な排便を促すことが、健康維持には欠かせないことであるとのことでした。それにより、生活リズムが整い、便失禁を防げることで皮膚トラブルの予防にも繋がると話されました。また、実際の話で、老々介護で妻のオムツ交換を行う夫の介護軽減にもつながったことを聞いて、コントロールの重要性を改めて認識しました。
 次に、便の良し悪し・硬さ・形状等の目安として、国際的に使用されている、1(コロコロ便)~10(水様便)の10段階区分で、3~5が正常とされているブリストル便性状スケールから、利用者様や自分の便を知っておくことも重要であると説明されました。便の水分は通常70~80%が正常で、それ以下は固くなり便秘になりやすい。また、90%以上で水様便と言われていることを知りました。病的な便として、黒い便:上部消化管、胃や十二指腸からの出血の可能性、赤い便:大腸、直腸、肛門からの出血の可能性、白い便:肝臓、胆のうに炎症やがんの可能性として示してくれました。便秘の原因については、身体機能の低下、食事量・水分量の低下、薬の副作用、生活環境の変化、ストレス等があり、高齢者は腸蠕動運動の低下、日常生活動作の低下、脳血管障害などさまざまな疾患により便秘になりやすいと話されました。便秘の種類として、器質性便秘と機能性便秘の大きく2つに分けられ、器質性便秘は、強い腹痛、吐き気、嘔吐、発熱、血便などが生じ、腸閉塞や大腸がん、大腸の病気の可能性があるため、医療機関受診や訪問看護師への相談が必要であるとのことでした。一方、機能性便秘は、慢性の便秘であり、排便コントロールが必要とのことでした。その中で直腸性便秘は、直腸に便が停滞、排便反射が起こらない便秘で、高齢者や寝たきりの方に多いそうです。また、排便障害の一つとして、慢性的に直腸に便が滞留し便意が起こらないまま直腸内でカチカチに硬くなって、自力では排出できない状態の嵌入便(かんにゅうべん)について説明してくれました。便秘だと思って下剤を投与したが、直腸に便があるため下痢便だけが漏れ、だらだらと便失禁が続く状態とのことです。直腸に指を入れ、硬い便がないかしっかり確認することが必要とのことでした。
 排便の促進方法として、以下の3つを紹介してくれました。①レシカルボン座薬:肛門から挿入後15~20分腸内でガスを発生させて腸の動きを刺激、②浣腸:液注入後5~10分腸の蠕動を活発にさせ、硬い便をやわらかく滑りやすくする、③摘便:肛門から直腸に指を入れて便を掻き出す。座薬や浣腸の時でも、自力で便が出せないときも行うとのことでした。食事の食物繊維については、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があり、不溶性食物繊維は、腸内で水分を吸収し、膨らむことで腸蠕動運動を活発にする。牛蒡・きのこ・豆類に多く含まれている。水溶性食物繊維は、大腸内で発酵、分解され、ビフィズス菌などが増えて腸内環境がよくなる。海藻・オクラ・里芋・果物に多く含まれているとのことでした。最後に腸内細菌についての説明してくれました。人間の腸内細菌は、100兆子以上あり、重量では、1.5㎏あるそうです。大便から水分を除いた約半分が腸内細菌であることを説明してくれました。お腹の調子は、善玉菌と悪玉菌のバランスによって決まることから、毎日の食生活が大切で下剤には頼らない、緑黄食野菜・発酵食品をしっかり摂取することを話されました。健康チェック活用方法として、自分の排便管理表の作成することも大切であるとのことでした。
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